Okada Lab

Overview

main topics

我々の知的活動では,モノゴトを認識して情報を収集し,得られた情報から将来起こり得るシナリオを予測し,次にとるべきアクションを判断して,行動に移すということをしています.行動することによって新たな情報が得られるので,我々はこのループを通じて知能を高度化していると言えます.このループは様々な対象に見られるもので,対象の特性を計測し解析して新材料を開発する材料科学や,地質情報を収集し地震波や津波の伝播を予測して防災に役立てる地震防災等にも現れます.

本研究研究室では,認識から行動に至る知的活動等の背景に潜む数理構造の解明に挑みます. 機械学習や(情報)統計力学,最適化手法などによって,データの収集・解析やシナリオの取捨選択にアプローチします. これらの手法を用いて,脳科学,材料科学を対象に研究しています.

これらの学問の共通の特徴は非常に“たくさん”のモノやコトを取り扱っている点にあります. アボガドロ数個の原子のスピンの向きが決める物質の磁性,100億個の神経細胞の発火パターンから生まれる脳活動,1MB,1GBといった0,1の列によって記述されるコンピューター上の情報. このように“たくさん”のモノやコトが集まった系の解析には,統計力学の手法が大変な威力を発揮することがあります.
具体的には磁性体におけるスピンの向き,上向きor下向き,脳の中の神経細胞の活動,発火or非発火, 情報科学におけるビット,0 or 1をそれぞれ対応させることによって,統計力学の手法を様々な問題に適用させることができるのです.

近年の計測技術の発展やシミュレーション技法の発達によって,大量のデータが容易になってきましたが, 現象の背後に潜む物理制約によって,そのデータは一般に(はるかに)低次元の空間の説明変数で説明されます. この構造を理解し,より効率的な認識・予測を行うために,当研究室では スパースモデリングについての研究を盛んに行っています.これは,脳科学・神経科学では,「スパース符号化」という仮説と密接に関連し,情報科学では圧縮センシングという技術とつながりがあります.高次元の観測データからの知識抽出という切り口から,幅広い自然科学分野のデータ解析において成果をあげつつあります.詳しくは,スパースモデリングをご覧ください.また,新学術領域「疎性モデリング」のホームページはこちらをご覧ください.

また,高次元からのデータからの知識抽出が可能となることにより,データから直接モデルを見出す「データ駆動科学」を考えることができるようになります.当研究室では,データ駆動科学の創成のための基盤技術に関する研究も行っています.

本研究室では,データ駆動科学の創生を目的とし、理論と実験を問わずに多くの研究室との共同研究も盛んです。 例えば、国立の研究機関として、岡田の兼務先である、NICT-情報通信研究機構 脳情報通信融合研究センター、物質・材料研究機構、高輝度光科学研究センター・放射光利用研究基盤センター(JASRI)をはじめとし、他に産業総合研究所、大学としては東大内では新領域創成科学研究科、物性研究所、他大学としては熊本大学、筑波大学などの多くの研究室との共同研究を行っています.このような共同研究に学生さんが積極的参加することを推奨し、学生さんを共同研究に巻き込んで、プロジェクト推進能力をOJT(On the Job Training)で向上させることも狙っています。

解説

2024/11/5 「全状態型スパースモデリング(ES-SpM)」

2024/8/29 計測解析双方向相互作用
本解説では,ポストプロセスとしてのデータ解析の限界を述べ,その限界を突破する事に対し,ベイズ計測がどのように寄与するかを述べる.そのための,キーコンセプトは計測限界の理論的導出である.ノイズなどの外乱に対して,ベイズ計測の結果がどこまでロバストであるかを定量的に議論できる.さらに,この枠組みを用いると,上記の通常のポストプロセスとしてデータ解析の限界を超えて,実験/計測にフィードバックする計測解析双方向相互作用を取り扱うことがあることを述べる.これにより,ベイズ計測はデータ駆動科学車だけでなく,各分野の実験/計測家にとって,必須な枠組みになることを述べる.

2024/8/27 ベイズ統合
データ統合とは、一つの物質に対して,複数の実験/計測データが存在する場合に、どのように、それら複数の実験/計測データの統合を取り扱う枠組みを解説し、我々の構築した理論の描像を用いて、データ統合をベイズ計測の枠組みで取り扱うベイズ統合を解説する。

2024/8/26 描像と言語の相互作用
優れた物理学者は方程式というのを好まずに描像という言い方を好みます。私見なのですが、それは、進化の過程を考えると、脳内の情報表現が深く関係していると思っています。サルは脳の中で視覚野が占める割合は50%人間になると前頭葉が発達するので視覚野は30%になります。ここから考えると、知的な情報処理は言語だけではなく、画像処理にも担われていることがわかります。

2024/8/26 東大新領域基盤系高次元データ駆動科学教育プログラム データ駆動科学入門I講義議資料
1日目講義スライド
2日目講義スライド

線形回帰モデルy=ax+bのベイズ計測の解析計算
直線回帰ベイズ計測1.pdf: 大学1年で習う最小二乗法の復習
直線回帰ベイズ計測2.pdf: ベイズ推論の導入。事後確率推定、ノイズ分散推定
直線回帰ベイズ計測3.pdf: ベイズ的モデル選択 y=axかy=ax+bかをデータのみから決める

2024/8/22 プレゼンテーションN2
私が理研の脳科学研究センターに移って、英語でプレゼンテーションしないといけない時に編み出したのがプレゼンテーションN2法です。なかなかスライドを使ってうまくプレゼンテーションできないと悩んでいる方は、一度お試しください。

2024/8/22 申請書・スライド・論文作成指南書
研究成果や調べて物を報告するのは、簡単なようで難しいです。私の個人的な見解で学問的根拠はないのですが、多分、脳内での情報の表現の仕方と言語での1次元的な情報表現が、原理的に変換できないことが原因と考えています。そのようなことをみとめたうえで、どう申請書・スライド・論文を書いていけば良いかをまとめました。

2024/8/13 ベイズ計測による計測限界の理論的取り扱い
ベイズ計測ではパラメータの事後確率分布を求めることができる.これの有用さを理解するには,実際にベイズ計測を行ってみるしかない.本解説で,ベイズ計測を経験したことがない方も,パラメータの事後確率分布をすいていすることで何ができるかを解説する.パラメータの事後確率分布を求めることができると,対観測ノイズなどの計測限界を理論的に取り扱うことができる.この計測限界の理論により,データ解析から計測限界の知見を実験計画へのフィードバックできることを示す.このようにベイズ計測は,単にデータ解析の性能を上げるだけでなく,研究のやり方自体を,これまでの旧態依然としたものからモダンで効率的な枠組みに刷新できるパラダイム創成器であると考えられる.

2024/8/5 機能発現の3ステップモデル
材料開発などの機能を実現するためには、量子力学/電磁気学/熱統計力学をベースとする物質科学の知見をベイズ推論で抽出するだけでは不十分であり、機能と相関のある物質の特徴量をスパースモデリングで探る必要があることを述べる。この考察から、機能発言の数理的アプローチは3ステップモデルで記述する必要があるというパラダイムを提案する。

2024/8/5 Thomas Henry Huxleyとデータ駆動科学
ノーベル生理学賞のHodgkin-Huxley方程式のAndrew Fielding Huxleyの祖父のThomas Henry Huxleyの名言"Try to learn something about everything and everything about something."とデータ駆動科学の関連性を解説しました。特に新領域の看板の学融合による異分野融合による普遍性の効率的獲得について新たな視点を提案し、新領域創成科学研究科基盤系の教育プログラム高次元データ駆動科学教育プログラム(HD3: High-Dimensional Data Driven Science)の設計コンセプトも解説しました。

2024/8/1 計算論的神経科学とデータ駆動科学
データ駆動科学の学理として最も重要なデータ駆動科学の三つのレベルと、その元になった計算論的神経科学のDavid Marrの三つのレベルに関する解説です。 データ駆動科学の基礎学問の学理だけでなく、データ駆動科学が如何に民間企業の高収益化に寄与するか、系統的に人材育成に使えるかについても記述してあります。
基礎学問だけでなく、その応用展開に興味があるかとも、是非、お読みください。

2017/12/17 科学研究費補助金新学術領域研究「スパースモデリングの深化と高次元データ駆動科学の創成」2017年度チュートリアル
スパースモデリングとデータ駆動科学スパースモデリング班(B01-2)の5年間の研究成果のまとめです。
情報統計力学とスパースモデリング、高次元データ駆動科学の創成、最小二乗法のベイズ推論、 スパースモデリングの深化について手短にわかりやすくまとめてあります。

研究方針

研究の経緯とそれにもとづく研究方針

データ駆動科学の情報数理基盤

階層的自然観とベイズ推論

階層的自然観とスパースモデリング

データ駆動科学と近似アルゴリズム

データ駆動科学とディープラーニング

データ駆動科学と民間就職 サイバーフィジカルシステムの観点から

データ駆動科学と企業R&D組織のフラット化

データ駆動科学と人材の流動化

新聞解説

東京新聞 機械学習にノーベル物理学賞 「源流」に日本人研究者 AIの発展 大きな貢献

岡田研主催の講演会

20250418
カラクリ中山取締役CPOご講演
中山智文 「岡田研で学ぶことが社会でどのように活きるのか」
20250318
2025年3月25 日(火) 13:00-17:10地球データ駆動科学シンポジウムを開催いたします。
 東京大学柏キャンパス基盤棟2階共通セミナー室 Zoom配信あり。
希望者は okada@edu.k.u-tokyo.ac.jp まで、ご連絡ください。折り返しZoomURLをメールします。

招待講演

20250416
学融合セミナー
岡田真人「学融合とデータ駆動科学」
Abstract
20250305
第27回HiSOR研究会 ~物性研究とベイズ計測の協奏~Cooperation between Condensed Matter Research and Bayesian Inference
岡田真人 物性研究とベイズ計測
片上 舜 ベイズ計測オープンソースソフトウェアの開発の取り組み
20250217
九大データ駆動科学セミナー『計測技術と統計解析を基盤とした異分野共創』
岡田真人 データ駆動科学による異分野共創
20250212
兵庫県立大理学研究科セミナー
岡田真人 物性物理学とベイズ計測: ベイズ計測の理学系研究科への展開
20250206
2025年2月6日 「放射光科学でのDX」
岡田 真人 ベイズ計測と放射光科学
片上 舜 ベイズ計測オープンソースソフトウェアの開発の取り組み
20241219
人工知能学会AIフェス「ノーベル賞に見るAI研究の歴史的転換点、その驚きと今後」
岡田真人 「ノーベル物理学賞/化学賞とAI for Science」
20241118
広島大学放射光科学研究所 HiSORセミナー
岡田真人「放射光科学とデータ駆動科学」
茂木真帆「ARPESのベイズ計測」
20241105
早稲田大学 先進理工学部 電気・情報生命工学科 大久保研究室
「材料工学とデータ駆動科学」
20241025
国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)
技術開発 共用部門 材料データプラットフォーム
「ノーベル物理学賞と化学賞 – NIMSとAI for Science」
20241011
九州シンクロトロン光研究センターシンポジウム
「ベイズ計測〜現状と展望〜」
基調講演 「ベイズ計測と放射光科学」
岡田 真人
講演 2 「ベイズ計測による小角散乱法の試料モデル選択とパラメータの推定」
林 悠偉
20241011
テレビ朝日インターネットニュース ABEMAヒルズ
アーカイブ動画「新たな時代へ...AI研究のノーベル賞相次ぐ」
テレビ朝日との打ち合わせ資料
20240906
SPring-8シンポジウム2024
セッションⅥ データサイエンスを用いた最先端計測解析
S1-2「ベイズ計測とSPring-8全ビームラインベイズ化計画
岡田真人(東京大学新領域創成科学研究科)
20240902
第16回 日本放射光学会 若手研究会 放射光サマースクール2024 ―放射光科学×キャリアパス―
S1-2「ベイズ計測と放射光科学」 岡田真人(東京大学新領域創成科学研究科)
アブストラクト
20240731
筑波大学システム情報系コンピュータサイエンス専攻 五十嵐研セミナー
S1-2「ベイズ計測の基礎から展開へ: 研究スキルの獲得からキャリアプランまで
岡田真人(東京大学新領域創成科学研究科)
アブストラクト
20240612
量子物理工学セミナー
物理学とデータ駆動科学: ベイズ計測を中心に」(岡田 真人、東京大学)
20240610
データ駆動科学シンポジウム「ベイズ計測の最前線」
基調講演1「ベイズ計測の基礎から展開へ」(岡田 真人、東京大学)
招待講演2「ベイズ計測の理論的洞察と展望」(片上 舜、東京大学)
20240516
「熊本大学 物理学セミナー」
岡田真人 「物理学とデータ駆動科学:ベイズ計測を中心に
20240508
データ駆動科学シンポジウム「ベイズ計測によるSPring-8のデータ解析高度化」
岡田真人 「基調講演ベイズ計測をSPring-8に導入するメリットはあるのか?
      アブストラクト
20240410
物性研中性子セミナー・機能物性セミナー
林悠偉 「⼩⾓散乱データに基づく試料パラメータとモデルのベイズ推論
20231030
2023年度 あいちシンクロトロン光センター 公開セミナー
「データ駆動科学によるデータ解析高度化~ベイズ計測~」

岡田真人 「ベイズ計測
片上舜 「EMC ベイズ推定を全てのユーザーへ
20230901
物性研理論セミナー
片上舜 「分散関係計測データに対するベイズパラメータ推定
20230515
「DX-GEM拠点2023年度第2回研究会」
岡田真人 「ベイズ計測とSPring-8全ビームラインベイズ化計画
20230419
学融合セミナー
岡田真人 「複雑理工学専攻とデータ駆動科学
20230331
人工知能とその応用シンポジウム
岡田真人 「人工知能応用とデータ駆動科学Abstract
20230328-29
データ駆動科学と情報計測の新展開
岡田真人 「オープニング
岡田真人 「全状態探索型スパースモデリング
岡田真人 「クロージング
20230330
データ駆動科学と情報計測の新展開
岡田真人 「オープニング
岡田真人 「ベイズ推論とSpMに基づく計測の情報数理基盤の構築
岡田真人 「クロージング
20230307
第88回SPring-8先端利用技術ワークショップ/「第4回データ駆動科学によるデータ解析高度化~ベイズ計測~
岡田真人 「ベイズ計測
森口椋太 「メスバウアーハミルトニアン推定
林 悠偉 「X線小角散乱プロファイルのベイズ推定
片上 舜 「ベイズ推定のスキーム〜全てのユーザーのために〜
20210306
第2回計測インフォマティクス研究会(人工知能学会第2種研究会)
岡田真人 「ベイズ計測
20210624
福島邦彦電通大特別栄誉教授就任記念研究会
岡田真人 高次視覚野の神経ダイナミクス
20171101
MI2Iチュートリアルセミナー (第6回)計測インフォマティクス
岡田真人 「導入編 計測インフォマティクスとベイズ推論
ビデオ用スライド
20151007
第15回NIMSフォーラム
マテリアルズ・インフォマティクスとは何か
-物質材料科学とデータ駆動科学-
20121217
「物性研セミナー」物性研6階 大講義室
岡田真人 「ベイズ推論と物性科学