新着情報
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2024/9/30
セミナー: SPring-8全ビームラインベイズ化計画の現状と将来展望 -
2024/9/9
Title:Mesoscopic Bayesian Inference by Solvable Models
Author: Shun Katakami, Shuhei Kashiwamura, Kenji Nagata, Masaichiro Mizumaki, Masato Okada
をJournal of Physical Society Japanに投稿しました。 近年、ベイズ推論を計測科学に適用したベイズ計測が急速に発展しており、比熱と磁化率の統合、メスバウアー分光、NMRなどに活発に適用されている。しかしながら、数値計算に基づく応用研究が進むにつれ、データ解析結果の解釈が難しいケースが多く存在することが明らかになった。これはベイズ計測の解析理論の大半が観測点数N無限の極限を取り扱っており、観測点数Nが有限の場合の理論が存在しないためである。本稿では、この困難を乗り越えるため観測点数N有限の状況を定量的に説明する解析的理論を展開する。この新しい理論により、実データ解析の解釈が容易になることが期待される。
「データ点数有限のベイズ計測の理論」 -
2024/8/28
計測解析双方向相互作用
本解説では,ポストプロセスとしてのデータ解析の限界を述べ,その限界を突破する事に対し,ベイズ計測がどのように寄与するかを述べる.そのための,キーコンセプトは計測限界の理論的導出である.ノイズなどの外乱に対して,ベイズ計測の結果がどこまでロバストであるかを定量的に議論できる.さらに,この枠組みを用いると,上記の通常のポストプロセスとしてデータ解析の限界を超えて,実験/計測にフィードバックする計測解析双方向相互作用を取り扱うことがあることを述べる.これにより,ベイズ計測はデータ駆動科学車だけでなく,各分野の実験/計測家にとって,必須な枠組みになることを述べる. -
2024/8/27
ベイズ統合
データ統合とは、一つの物質に対して,複数の実験/計測データが存在する場合に、どのように、それら複数の実験/計測データの統合を取り扱う枠組みを解説し、我々の構築した理論の描像を用いて、データ統合をベイズ計測の枠組みで取り扱うベイズ統合を解説する。 -
2024/8/26
描像と言語の相互作用
優れた物理学者は方程式というのを好まずに描像という言い方を好みます。私見なのですが、それは、進化の過程を考えると、脳内の情報表現が深く関係していると思っています。サルは脳の中で視覚野が占める割合は50%人間になると前頭葉が発達するので視覚野は30%になります。ここから考えると、知的な情報処理は言語だけではなく、画像処理にも担われていることがわかります。 -
2024/8/26
東大新領域基盤系高次元データ駆動科学教育プログラム データ駆動科学入門I講義議資料
1日目講義スライド
2日目講義スライド線形回帰モデルy=ax+bのベイズ計測の解析計算
直線回帰ベイズ計測1.pdf: 大学1年で習う最小二乗法の復習
直線回帰ベイズ計測2.pdf: ベイズ推論の導入。事後確率推定、ノイズ分散推定
直線回帰ベイズ計測3.pdf: ベイズ的モデル選択 y=axかy=ax+bかをデータのみから決める -
2024/8/22
プレゼンテーションN2法
私が理研の脳科学研究センターに移って、英語でプレゼンテーションしないといけない時に編み出したのがプレゼンテーションN2法です。なかなかスライドを使ってうまくプレゼンテーションできないと悩んでいる方は、一度お試しください。 -
2024/8/22
申請書・スライド・論文作成指南書
研究成果や調べて物を報告するのは、簡単なようで難しいです。私の個人的な見解で学問的根拠はないのですが、多分、脳内での情報の表現の仕方と言語での1次元的な情報表現が、原理的に変換できないことが原因と考えています。そのようなことをみとめたうえで、どう申請書・スライド・論文を書いていけば良いかをまとめました。 -
2024/8/19
ベイズ計測による計測限界の理論的取り扱い
ベイズ計測ではパラメータの事後確率分布を求めることができる.これの有用さを理解するには,実際にベイズ計測を行ってみるしかない.本解説で,ベイズ計測を経験したことがない方も,パラメータの事後確率分布をすいていすることで何ができるかを解説する.パラメータの事後確率分布を求めることができると,対観測ノイズなどの計測限界を理論的に取り扱うことができる.この計測限界の理論により,データ解析から計測限界の知見を実験計画へのフィードバックできることを示す.このようにベイズ計測は,単にデータ解析の性能を上げるだけでなく,研究のやり方自体を,これまでの旧態依然としたものからモダンで効率的な枠組みに刷新できるパラダイム創成器であると考えられる. -
2024/8/5
機能発現の3ステップモデル
材料開発などの機能を実現するためには、量子力学/電磁気学/熱統計力学をベースとする物質科学の知見をベイズ推論で抽出するだけでは不十分であり、機能と相関のある物質の特徴量をスパースモデリングで探る必要があることを述べる。この考察から、機能発言の数理的アプローチは3ステップモデルで記述する必要があるというパラダイムを提案する。 -
2024/8/5
Thomas Henry Huxleyとデータ駆動科学
ノーベル生理学賞のHodgkin-Huxley方程式のAndrew Fielding Huxleyの祖父のThomas Henry Huxleyの名言"Try to learn something about everything and everything about something."とデータ駆動科学の関連性を解説しました。特に新領域の看板の学融合による異分野融合による普遍性の効率的獲得について新たな視点を提案し、新領域創成科学研究科基盤系の教育プログラム高次元データ駆動科学教育プログラム(HD3: High-Dimensional Data Driven Science)の設計コンセプトも解説しました。 -
2024/8/1
計算論的神経科学とデータ駆動科学
データ駆動科学の学理として最も重要なデータ駆動科学の三つのレベルと、その元になった計算論的神経科学のDavid Marrの三つのレベルに関する解説です。 データ駆動科学の基礎学問の学理だけでなく、データ駆動科学が如何に民間企業の高収益化に寄与するか、系統的に人材育成に使えるかについても記述してあります。
基礎学問だけでなく、その応用展開に興味があるかとも、是非、お読みください。 -
2024/6/6
Title:Mesoscopic Bayesian Inference by Solvable Models
Author: Shun Katakami, Shuhei Kashiwamura, Kenji Nagata, Masaichiro Mizumaki, Masato Okada
をarXivにアップロードしました。近年、ベイズ推論を計測科学に適用したベイズ計測が急速に発展しており、比熱と磁化率の統合、メスバウアー分光、NMRなどに活発に適用されている。しかしながら、数値計算に基づく応用研究が進むにつれ、データ解析結果の解釈が難しいケースが多く存在することが明らかになった。これはベイズ計測の解析理論の大半が観測点数N無限の極限を取り扱っており、観測点数Nが有限の場合の理論が存在しないためである。本稿では、この困難を乗り越えるため観測点数N有限の状況を定量的に説明する解析的理論を展開する。この新しい理論により、実データ解析の解釈が容易になることが期待される。
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2024/4/19 D1 久住太一さんが「風戸研究奨励会国際会議発表渡航助成」に採択されました。
電子顕微鏡並びに関連装置の研究・開発及び電子顕微鏡並びに関連装置を用いた研究(医学,生物学,物理学,化学,材料学,ナノテクノロジー,その他)に携っている研究者を対象とした渡航助成.最大50万円の助成が与えられる. -
2024/4/15 D1 久住太一さんが「Microscopy and Microanalysis 2024」Student Scholar Awardを受賞いたしました。
国際学会Microscopy and Microanalysisに応募した学生の中から少数名が選ばれる.2024年は200名以上の応募があった.受賞者には最大$1,000の参加費援助が与えられる. -
2023/9/23 D1 竝河伴裕さんが「東京大学 数理・データサイエンスコンソーシアム 第6回データサイエンスコンテスト」にて、最優秀賞を受賞しました。
本学学生より編成された7チーム 23 名が、加盟企業から提供された実社会データを使い、 データ解析を行った結果の発表を行いました。
最優秀賞:チーム「株式会社 a.s.ist」 テーマ「セールス魔人 アキナイター」
メンバー:塩谷佳介、林悠偉、竝河伴裕
岡田研究室に入るには
訪問,見学などは随時受け付けています.こちらをご参照ください。
研究室の方向性
統計力学を学ぶと,我々はミクロからマクロへつながる階層的な構造が自然界のいたるところに存在することを意識し,物理学の枠組を越えて統計力学が活躍できる様な気がしてきます.
岡田研究室では,統計力学や物性理論等の多体系物理の普遍的な視点から,脳科学,情報科学,物性物理学を理論的研究しています.
さらに最近では,データ駆動科学を創成を目指し,そこで得られた理論的な知見を実証するために,多くの実験系研究室と共同研究を行っています.
理論脳科学,計算論的神経科学
物理学と理論脳科学の出会いは,物性理論の研究者のHopfieldによる記憶のモデルの提案から始まりました.Hopfieldは記憶の仕組みが,スピングラスのエネルギーの多谷構造と関係していることを指摘しました.このHopfieldの指摘により,多くの統計物理学者が理論脳科学の研究に参入し,現在では平衡統計力学/非平衡統計力学や大自由度非線形力学系などの物理学的なアプローチが,理論脳科学の主流の一つとなっています.
情報統計力学,機械学習
統計学や機械学習で用いられるベイズ推論の数理構造が,統計力学と等価であることが認識されました.統計力学的手法がベイズ推論に用いられて,20世紀末に情報統計力学と呼ばれる新しい分野がうまれました.情報統計力学は,誤り訂正符号,データ圧縮,CDMA,圧縮センシングに関して,従来の数理科学的手法では取り扱えなかった難問を次々に解決しています.
データ駆動科学,物性理論/マテリアルズインフォマティクス
脳科学を機械学習で取り扱っていると,この枠組は脳科学以外の分野でも有効であることがわかりました.我々は,この学問分野を問わない新しい枠組をデータ駆動科学となづけました.
研究内容
理論物理学や数理科学を武器に下記のテーマについて研究しています.
データ駆動科学 : Data driven science
- 物性物理学
- 日本の国力の源泉は物質材料科学にあります.日本はこの分野で常に世界のトップを走り続けてきました.近年,計算機の性能の劇的な向上に伴い,膨大な数の材料探索を計算機の中でのシミュレーションによって行うことが可能になり,世界中で競争が激化しています.資本力で劣る日本が世界に勝つには,低コストかつ高速に材料探索を進める必要があります.私たちは長年の研究で培ってきたスパースモデリングやベイズ推論に代表されるデータ科学手法を用いてマテリアルズ・インフォマティクスの新しい枠組みを構築し,他分野との連携も通して,世界の普遍的な構造の研究を進めています.
- 計測インフォマティクス
- 計測は科学の母であり(Mother of Science),計測科学が進歩することにより,多くの科学が進歩します.計測技術の向上は,計測の高度化と計測データの情報処理能力の二点で達成できます.我々は,そのうち,計測データの情報処理能力の向上を目指します.計測科学にベイズ推論を導入したベイズ計測を提案しています.ベイズ計測を用いてSPring-8全ビームラインベイズ化計画や複雑理工学専攻におけるデータ駆動科学の水平展開をおこなっています.
- 脳科学
- David Marr から始まる計算論的神経科学では,計算理論,表現とアルゴリズム,ハードウェア実装の三つのレベルの視点で脳の情報処理メカニズムを考えます.対象としている系のマクロな計算理論が,ミクロなハードウェア上でどのように実行されるかを議論する,表現とアルゴリズムのレベルを理解するために,私たちは実験から得られたデータを解析しています.深層学習 (Deep Learning) で用いられる畳み込みニューラルネットワークは,一次視覚野の受容野特性にヒントを得て作られました.より高次の脳領野の計算を理論的に理解することは,新たな計算原理に基づく脳型人工知能の開発へと繋がります.具体的には側頭葉のニューロンの特性をデータ駆動科学で解析しています.東大新聞にその記事がにその記事が載っています.また側頭葉の神経集団ベクトルのビデオがあります.その知見を元に視覚野のモデルを構築しています。
- 地球惑星科学
- 東日本大震災のような津波被害を防ぐためには,迅速で正確な津波予測システムが必要です.高精度津波シミュレーションで生成した人工ビッグデータを学習させることにより,沿岸津波高や浸水域を予測する手法を開発しています.また,南海トラフ地震による巨大津波に対応するために,私たちが開発した予測手法の社会実装を目指しています.
理論 : Theory
- 情報統計力学/機械学習
- 物理学で発展した分配関数や自由エネルギーを計算する手法が,統計学や機械学習で用いられるベイズ推論に用いられて,20 世紀末に情報統計力学と呼ばれる新しい分野が生まれました.例えば,小脳のモデルとされるパーセプトロンの学習能力は,スピングラスの理論解析に用いられるレプリカ法で計算できます.この他にも,情報統計力学は,誤り訂正符号,データ圧縮,CDMA,圧縮センシングに関して,従来の数理科学的手法では取り扱えなかった難問を次々に解いています.